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「ロボット」をテーマにしたSNSサイト※を運営するシーシェルコーポレーションの河野氏に話を聞いた。ロボットに夢を託し、新ビジネスにチャレンジする企業がある。家電製品のソフト開発をメインに事業展開するシーシェルコーポレーションだ。1991年に起業し、順調に事業を展開してきた同社は、さらなる業容拡大に向けた新プロジェクトの企画を社内で募った。そこへ若手社員の一人・河野氏が手を上げ、子どものころから思い描いていた「ロボットをつくりたい」という夢を社長にぶつけた。これが社長の心を動かし、最終的には同氏と同じく「ガンダム世代」の4人が結集、新規事業を推進することになった。

「そうはいっても私たちはロボットについてはまったくの素人。そこでロボット好きが集まり意見交換できるサイトを運営し、知識やノウハウを吸収しようと考えたのです」。そして2007年4月に立ち上げたのが、ロボットをテーマにしたSNSサイト「Sea Thru」。オープンして約10ヵ月後には、2000人以上が参加するまでに成長した。

「今年はコアユーザーを増やすため、サイトの活性化を主眼としたサイト運営に切り替えています」と語る通り、「競技大会でNo.1になる」ロボットを製作するため、サイト内で仕様やデザインなどを積極的に募集、「会員と力を合わせて実現させたい」と目を輝かせる。さらにユーザーの声を集めてメーカーに提供し、ロボット開発の源泉として活用してもらうBtoBビジネスも視野に入れる。ニッチな分野で2000人以上の会員を有するのは大きな強み。収益確保をめざし、サイト内の広告ビジネスやモニター展開なども検討している。

同社の最終目標は、サイト運営で得たノウハウと知識をもとに自社ロボットを開発し、世に発表すること。ガンダム世代4人熱き挑戦は続く。

※人と人とのつながりを促進・サポートするコミュニティ型ウェブサイト



【商品】
誰でも会員登録でき、無料で利用できる。会員の3分の1はロボット製作に携わったことのあるプロ。http://www.seathru.jp/

株式会社シーシェルコーポレーション
http://www.seashell.co.jp/
TEL 06-6764-7600
システム開発部チームリーダー 河野 慎也




「サイトを運営するのは、みんなガンダム世代。人工知能を持ち、子どもが楽しく遊べるようなかっこいいロボットを自社開発したいですね」。
大阪大学の八木哲也教授が開発したIVS(インテリジェント・ビジョン・センサ)は、生体の眼の機能を電子回路化した視覚センサだ。デジタルカメラなどでおなじみの画像処理は、CCDカメラで取り込んだデータをコンピュータが1つずつ順番に処理をして画像化している。眼の部分であるカメラは撮像データを伝送するだけで、実際の画像化は本体内の専用ボードが請け負っているわけだ。IVSはこの画像処理を、眼の部分のシリコン網膜チップがアナログ的に1度で全てを処理する人間の眼の画像認識と同じ方法をとっている。鵜殿氏は、「網膜チップの部分だけで画像処理の仕事が完結しているので、コンパクトで低消費電力、タイムラグのない実時間での画像認識ができます」とIVSのメリットを説明する。

CCDカメラにはない特長として、IVSには生体網膜と同様の「形を見る能力」「動きを見る能力」が備わっている。動いている物体の輪郭を判断し、動きの方向に追随できるので、人の動きなどを瞬間的に察知して、必要なデータだけを記録したいセキュリティカメラなどへの技術転用が期待されている。もちろんこうした特性は、ロボットビジョンの高度化にも有効。「人や動く物体を認識する反応がより速くなる、低消費電力、小型という点もロボットには最適です」。

この技術を持って2005年2月に、大阪大学発ベンチャーとして設立されたのがニューラルイメージだ。本格的に市場を開拓していくために、現在、電力会社や監視カメラメーカーなどと共同で、システム開発に取り組んでいる。同氏は、「ロボット業界にも積極的にPRして、この技術を多くの関係者に知ってもらいたい」と、ロボット業界にも積極的にPRしていくという。


【商品】
画像素子は12.5mm角、モノクロ対応で約1万6000画素。並列処理により、コントラスト強調画像、動き検出画像、エッジ画像など複数モードで出力できる。

株式会社ニューラルイメージ
http://www.neuralimage.co.jp/
TEL 072-645-5566
製品開発部 鵜殿 直嗣




「当社の技術がどのように社会貢献できるのか、いろいろな企業とパートナーシップを結び、ビジネスモデルを模索していきたいですね」。
用途によってカスタマイズ可能なイージーオーダーロボット「pul(プル)」をデザインしたブリューナクの波多野氏にスポットを当てる。マーケットのニーズを敏感に察知するデザイナーに、これからのロボットの形を聞いた。

ブリューナクの波多野氏がデザインした「pul」は、「すべてにおいてニュートラル(中立)」というコンセプトが表わす通り、男性でも女性でもない中性さ、柔和さと硬質さの両面を感じさせるインターフェースが特長だ。人と直接会話できるコミュニケーションロボットとしての機能を最大限に活かすため、誰にでも親しみやすい形を追求した結果、たどり着いたのは真ん中=ニュートラルというキーワードだった。

もともとメーカーで自動車のデザインを担当していた同氏。2005年に起業してからは2D・3Dを問わず、幅広いジャンルのデザインを手掛けてきた。以前からロボットデザインに興味があったため、ロボット開発ネットワーク「RooBO」に参画。「イージーオーダーロボット」を製造している会社を紹介された。ちょうど同時期に展示会へ出展の話があったため、イージーオーダーロボットの外装を同氏が手掛け、共同で参加することに。「日程的には厳しかったですが、ロボットビジネスに参入したいという想いがあったので決意しました」。

こうして「pul」を制作することになったが、作業は予想以上に難航。音声の再生・合成機能を搭載した頭部は、特に大きさのバランスに苦心した。さまざまなオーダーに対応できるロボットであるためには、多くの機能をスムーズに稼働できるデザインが要求される。展示会の当日まで粘り、ようやく納得のいくロボットをつくり上げることができた。「機能性とデザイン性を両立させてこそプロの仕事。設計の段階から、量産も考慮し、設計から生産面の責任を負ってはじめてデザインと呼べるのだと思います」。

今後は「pul」の市場のニーズを洗い直し、量産体制を整えていくつもりだという。同氏がデザインしたロボットに街角で出会う日も、そう遠くはないかもしれない。


【商品】
音声再生・合成・認識はもちろん、豊富なインターフェースも備えており、外部機器との接続も可能。pulをベースにデザインをカスタマイズすることもできる。

有限会社ブリューナク
http://brionac.jp/
TEL 06-6373-0343
代表取締役 波多野 裕典




「ロボット産業の発展のために、企画・デザインという部分でその一端を担っていきたい」。
まちの新たな見守りシステムが心斎橋のアメリカ村で動き出した。利用者固有のIDが登録された携帯型の無線送信装置「ロボットロケーター」のボタンを押すと、アメリカ村内の30台の自動販売機に取り付けられた無線受信機が感知。受信データは光ファイバー網を通して管制センターへ送られ、発報者と位置の情報を特定したうえで巡回中の警備員にリアルタイムで伝えられる。ボタンが押されてから警備員が現場に到着するまではものの数分。先端技術と人間によるサービスの組み合わせによって、究極の見守りシステムを実現した。

若者に人気のまちとして知られるアメリカ村だが、近年は執拗なキャッチセールスや恐喝まがいの事件も頻発し、客離れを招いていた。頭を痛めていた「アメリカ村の会」の森本氏のもとにNSJのシステムの情報がもたらされたのは約1年前。「押すだけですぐに駆けつけてくれるところがすごい」と、すぐに導入の話が進んだ。商店主、さらには周辺の商店街に理解を求め、市や警察の許可などの手続きを踏んだ。エリアを網羅するための受信機の設置場所や人混みの激しい週末に警備員が駆けつけるルートなどを検証し、実運用に備えた。

「今後は、より細かい位置情報の把握のため受信機の設置場所を増やすほか、警備員が頭部装着型のモニター画面から、移動中も常に情報を受信できる、より機能的なシステムも構築する」とNSJの上甲氏。一方で森本氏は「今後はミナミ一帯にエリアを広げると同時に、ロケーターのインフラを活かし、どう商売に結びつけるシステムをつくっていくかが商店街にとってのテーマ」とアイデアは尽きず、ロケーターにカード決済機能を持たせ手軽に買い物ができる仕組みも考案中。「アメリカ村発日本初の仕組みづくり」が二人の合言葉だ。



(写真左)
株式会社NSJ
http://www.n-sj.jp/
TEL 06-6944-4550
代表取締役社長 上甲 敏和

(写真右)
大阪市中央区ミナミ商店会連合会 アメリカ村の会
TEL 06-6211-7247
相談役 森本 啓一
人の喜怒哀楽を声からズバリ読み取ってしまう感情認識技術がある。開発者のAGIと日本SGIは、多くの企業と連携し、このエンジンをさまざまな用途で商品化に繋げている。その代表格が、セガの開発したニンテンドーDS向けソフト「ココロスキャン」。ごまかせない本心を楽しむ感情の遊びは順調に売れ行きを伸ばしている。心の起伏を捉えることのできる機能を活かし、医療・福祉分野での応用にも力を入れている。

「あなたの好きなコスプレは?」の問いに、モニターに表示されたコスチュームを一つずつ読み上げていく。本心が暴かれてしまうのか。そのドキドキ感がたまらない。ニンテンドーDSが出した答えは「セーラー服」。心の奥底を見透かされたようだ。設問と答えは自由に設定できるので、「嫌いな上司は?」の問いで複数の上司の名前を入れて読み上げればよい。ゲームを離れてもオフラインで話題を生み出すコミュニケーションツールである。感情を読み取るのは感情認識エンジン。画像処理技術で世界に冠たるSGIの日本法人が「日本の優れた技術を使った独自のものづくりを」と考え挑んだのが、感情を可視化する技術の開発だった。開発にあたっては、まず感情を表すセリフを多くの人に読んでもらい音声データを集めた。「自分は怒っていてもそれを他人が怒りととらえるかはまた別」と第三者にも聞かせたうえで一致したファイルを解析し、さらに脳の研究データと突き合わせ科学的な裏づけを取って完成したのがこのエンジン。「平常」「怒り」「喜び」「悲しみ」「笑い」「興奮」の6つの要素から感情を定量化し、本心をはじき出す。このエンジンが、セガのゲーム開発陣の目に留まった。「皆が心のことを気にしだしている。脳の次は心だと考えていたところにまさにはまる技術だった」とセガの吉永氏。

自分の本音を探るゲームもあれば、怒りの言葉で敵を倒すゲームもある。6つの要素を組み合わせて「動揺」や「好き」という感情の評価理論も日本SGIと一体になってつくりあげた。「新しい自分を発見し、他人とのコミュニケーションも円滑にする感情のゲーム」は、幅広い年代層の支持を集め、息長くじわじわと売れ続けている。「エンジンの用途はまだまだ開拓中」という日本SGIの大塚氏だが、「仮説を立てて提案するとどこも興味を強く示してくれる」という。コールセンターもその一つ。電話を掛けてきた人の声から怒りを瞬時に判断し、ひどい場合にはスーパーバイザーに繋ぐ。「どのように応対すればお客様に平静を取り戻してもらえるかが客観的にわかり、社員の研修用にも使えます」。

現在、日本SGIが力を入れて取り組んでいるのが医療・福祉分野への導入だ。将来は職場で声の調子から病を早期に発見したり、病院では診断の補助手段として使うことができるように、日々研究を続けている。「技術は人間に置き換わるものではなく、あくまで人間をサポートするもの」と大塚氏。機械がいつか人の感情を理解して人の支えになる時代がやってくるのかもしれない。

株式会社セガ
http://www.sega.co.jp/
TEL 03-5736-7374
第一GE研究開発部 プランニングセクション リードプランナー
吉永 匠



「心をテーマにした新しい概念の開発を楽しめました。対戦型のゲームなどの開発よりもこういうソフトのほうが自分の性に合っていますね」。


日本SGI株式会社
http://www.sgi.co.jp/
TEL 03-5488-6518
戦略事業推進本部 執行役員 本部長
大塚 寛



同僚とのコミュニケーションも直接顔を合わせ、声を聞きながらでないと気が済まない。「見えるところにいるのにメールで済まそうとするなどもってのほか」。



モニターに表示された言葉を読み上げると、感情認識エンジンが感情を読み取り、結果を画面に表示する。エンジンはニンテンドーDS用に改めて開発しなおしたという。

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